研究課題
基盤研究(C)
本研究の中核的課題であるパルスレーザーアブレーション法による(Cu,C)-Ba-O系高温超伝導.膜の特性改善・プロセス条件の緩和に向けて1)in-situ光電子分光による超伝導特性と電子構.造の関連の評価、及び、2)膜構造・超伝導特性の薄膜作成パラメーター依存性を厳密に調べた。1)では、i)この系の1201相の超伝導がホールドープに起因すること、ii)その伝導度向上・超伝導発現がCO3基あるいは過剰酸素の導入によるフェルミ準位の低下に対応していること、iii)このときの電子構造変化はほぼリジッドバンド的であり、陰イオンが導入されるサイトがドーピング初期におけるBaイオン周辺から、ドーピングの進行に伴ってCuイオン周辺に移ることを明らかにした。また、電子構造とTcの関係から、現在までに得られた超伝導膜(Tc-onset>60K、Tc(r=0)>40K)がアンダードープ領域にあることが分かった。2)では、iv)ドーピングレベルの支配要因の一つであるCO3基の薄膜内濃度が膜堆積速度と正相関にあること、v)CO3濃度が、レーザーアブレーションでは、通常、軽微とされているアブレーション粒子による成長面衝撃に依存し、CO3濃度の制御には基盤配置、高エネルギー粒子のターゲット・成長面間での散乱過程を成長速度と併せて制御することが必要なことを明らかにした。これらにより現時点で、Tc-onset>60K、Tc(r=0)>40K且つ表面凹凸が1〜2ユニットセル以内の優れた超伝導特性と表面平坦性を有する(Cu,C)-1201相薄膜を500〜600℃の低温で形成するための手法を確立した。以上の成果は、この系が優れた低形成温度エレクトロニクス材料であることを実証するものであるとともに、その再現性の作成手法が確立されたことを示している。また、高特性・超平坦性が同時実現は、人工格子法による多層化・多成分系超伝導材料の創成への足掛かりとなるものである。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件) 産業財産権 (1件)
Journal of physics 43
ページ: 247-250
Journal of Physics 43
ページ: 1159-1162
ページ: 289-292
Materials Research Society Symposium 865
ページ: 155-160
Proceedings of 2006 IEEE 4^<th> World Conference on Photovoltaic Energy Conversion
ページ: 495-450