研究概要 |
平成18年度(初年度)は申請した研究計画に従い,ナノ結晶磁性膜の特性向上とナノ結晶磁性膜のナノ結晶磁性膜の試作(宗像),誘電体膜の試作(青木)を目標とし,二三の課題を残して目標の実績をほぼ達成した。 ナノ結晶磁性材料については,筆者らの世界最高の強磁性共鳴周波数(FMR)6GHzを達成した(CoFeB)系ナノ結晶膜の磁気共鳴(FMR)周波数を,さらに高い10GHzに引き上げを図るため,Ru, Cu, NiFe等の下地層上にFeCo膜を試作した結果,磁気共鳴周波数が12GHzに相当する良好な一軸異方性磁界を得ることに成功し,これに伴う結晶配向や結晶粒子径を調査検討している(業績1,2).この成果を基盤にして高飽和磁化(24kG)を持つハイブリッド化磁性膜の要素開発を予定(EMRS conf.ストラスブルクin May.2007発表・投稿予定)している. また,誘電体膜の作製については,プラズマ支援型スパッタ装置の準備調整が完了し,低基板温度あるいは常温基板温度における誘電体膜試作を予定よりやや遅れて開始している.誘電体膜とのハイブリッド化の有効性については予備試験を信州大に依頼し,従来膜については有効性を確かめている(業績 3.4).新誘電体膜の試作予定の遅れが若干の課題である. 以上のように,若干の課題を残してはいるが,業績(1-4)においても他者の記録を世界的に上回る新規の特性が得られており,これらの結果をさらに材料開発およびそれらの基礎となる物性研究を,申請当初の目的と計画のとおり推進している。
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