研究概要 |
1.LiNbO_3140°回転Y板横効果圧電伸び振動子によって加振された小さなガラス板を検知対象物に近づけ、エアフィノ内の距離範囲で振動子のQ値が8,000から1,000程度まで大きく減少することが明らかになった。一方、このときの共振周波数の変化は小さいことも分かった。 2.圧電伸び振動子の保持を容易にするため、ノード点が2ヶ所となる2次モード振動子を作製し、前項で述べた基本モード動作との比較を行った。その結果、初期Q値は5,300程度に下がったものの振動子が安定に保持され、距離に対する特性変化も基本モード動作とほぼ同じ傾向が得られた。これらの結果より、エアフィルム・ダンピング効果を利用した本研究の手法は近接センサとして利用できることが明らかになった。 3.共振周波数2.01MHzの厚み縦振動エネルギー閉じ込め型共振子を用い、振動振幅が指数関数的に減少する圧電板周辺領域(エバネセント領域)への液体の浸漬深さと共振点での電気的コンダクタンスGの関係を、粘性の異なるいくっかの液種について調べた。その結果、いずれも3〜5mmの距離範囲で浸漬深さに対しG値がほぼ直線的に変化することが確かめられ、本手法が微小な液面レベル変化の計測に適用できることが明らかになった。また、共振周波数1.64MHzの厚みすべり振動共振子を作製し厚み縦振動との比較を行ったところ、粘性の大きい液体ではすべり振動の利用が有利である可能性が示された。 4.圧電定数に分布を持つ圧電板における横効果伸び振動モードの分布定数等価回路表示を導出し、これが特定次数モードの選択的励振のモデル解析や、SAW-IDTのモデル化に適用できることを示した。
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