研究課題
基盤研究(C)
超伝導フィルタは、低損失、高周波数選択性などの利点を持ち、その利点を活かして携帯電話の基地局用受信フィルタとしてすでに実用化されている。然しながら、大きなパワーを制御する送信用フィルタとしては、未だ実用化されていない。その理由は、超伝導薄膜は薄膜端部に大きな電流が流れるために、耐電力特性が悪くなるからである。我々は端部の電流集中を抑え、耐電力特性の向上するフィルタとして、サブミクロン分割線路を用いた送信用フィルタを提案している。平成18年度には以下のような成果を得ている。1.分割線路型マイクロストリップ線路と通常のマイクロストリップ線路の電流集中度を、電磁界解析ソフトを用いて比較・検討し、分割型マイクロストリップ線路の方が電流集中を低減できることを見出した。2.分割線路型マイクロストリップ線路における最適な分割数を電磁界シミュレーションにより検討し、7分割以上あれば十分であることを見出した。3.サブミクロン分割線路に適した超伝導薄膜を検討し、NbN薄膜を選定した。良質なNbN薄膜の作製条件の確立および得られたNbN薄膜の結晶粒の配向性、超伝導特性(臨界温度、表面抵抗)等を評価し、NbN薄膜が分割線路型マイクロストリップ線路バンドパスフィルタに利用できることを見出した。4.分割型マイクロストリップ線路を用いて3段バンドパスフィルタを試作し、耐電力特性の向上について検討した。その結果、分割線路を用いる事により、耐電力特性が向上することを見出した。以上の成果を基に、平成19年度・20年度に実際に応用できる特性を持つバンドパスフィルタの試作を検討する。
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平成19年度春季第54回応用物理学関係連合講演会予稿集 54
平成18年度春季第53回応用物理学関係連合講演会予稿集 53
ページ: 289
19^<th> International Symp.on Superconductivity 19
ページ: 321