FDTD法によりマックスウェル方程式と半導体方程式群を組み合わせた統合電磁界・半導体解析手法を開発した。この解析手法の精度確認のため、種々のフィンガー長を有するInGaP/GaAsHBT素子を試作し、オンウエハー計測による実験結果と開発した統合電磁界・半導体解析手法によるシミュレーション結果とを比較した。この結果、有能電力利得と最大安定利得との転換周波数など半導体デバイスの超高周波特性を把握する上で重要なパラメータが正確にシミュレーションにより再現できることが明らかとなった。同様な実験とシミュレーションをGaNHEMTについても実施し、両者が良く一致していることを確認した。 一方超広帯域能動素子回路と超広帯域受動素子回路の群遅延特性を把握するため、UWB用InGaP/GaAsHBT MMIC超広帯域増幅器ならびにUWB用ブロードサイド4結合線路超広帯域バンドパスフィルタを試作し、群遅延特性を評価した。これらの群遅延を求める簡易計算式を導出し、フィルタに関して解析を実施した結果、測定Sパラメータから得られた実験値と良い一致を得た。 このような群遅延特性は凹型の周波数特性を有するが、これを補償するための凸型の周波数特性を有する群遅延補償回路を、パスバンドとストップバンドを有する右手・左手系複合回路に並列にインダクタを設けることにより実現する方法を提案した。一例としてアクティブバラン付きMMIC増幅器の群遅延補償MMICを設計試作し、良好な群遅延補償特性を実現した。
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