本研究計画は、異なる光信号の波長・波形を利用するネットワーク間のインターフェースとして、光信号の波長と波形を変換する機能を実現する手法の開発と、その性能を評価することを目的とし、今年度は下のような成果を得た。 光信号の波長を柔軟に設定するための広帯域・大偏位光波長変換器を多段接続した半導体光増幅器を用いて構成し、2.5Gb/sおよび5Gb/sの伝送容量に対して、波長偏位300nmを越える光波長変換を低誤り率特性にて実現した。さらに、論理反転による波形再生効果を実証し、通常の波長変換と比較して高品質な波長変換方式であることも確認した。さらに、この方式を光信号のマルチキャスティング配信にも適用した。まずは1550nm波長帯から1300nm波長帯へのマルチキャスティングを実現し、更に1550nm波長帯から同じ1550nm波長帯へのマルチキャスティングを実現した。これらにおいても前述のような波形再生効果を実現している。また、後者の場合、多段接続半導体光波長変換器によって一旦波長を1300nm帯に持っていくことによって、単一の光波長変換器を用いて1550nm波長帯へ変換する場合に比べて非線形効果を抑圧できることを見出した。 光信号のパルス幅を縮める手法として、光ファイバの4光波混合と、従来の研究成果の一部である「光波長・波形変換器」を組合わせる手法を試みた。これによって、10Gb/sの伝送容量の信号に対してその光パルス幅を縮めることが可能であることを見出した。しかしながら、光波長・波形変換器に用いられている半導体光増幅器のパターン効果によって波形が歪むことが明らかになった。
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