研究課題/領域番号 |
18560333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
井上 翼 静岡大学, 工学部, 助手 (90324334)
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研究分担者 |
石田 明広 静岡大学, 工学部, 教授 (70183738)
三村 秀典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90144055)
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キーワード | 紫外線 / ナノ蛍光体 / GaN / ナノワイヤ / 電子放出素子 |
研究概要 |
本研究の紫外線発光デバイスは、基板上に成長したGaNナノ結晶からの発光を基板表面側ではなく、基板裏面から取り出して使用することを提案している。発光波長は370nm以下であるため、これまで使用していたSi基板では紫外光が透過できない。そこで、本年度は主に紫外光が透過するサファイア基板へのGaNナノ結晶成長について研究を進めた。従来のSi基板上の場合と比較して形成成長温度をさらに高くして、基板上でのGa再蒸発を促進したところ、孤立したナノ結晶成長が得られた。ただし、ナノ結晶成長条件が変化したことにより、結晶品質が劣化し発光特性もSi基板上ナノ結晶に比べ劣化した。 GaNナノ結晶の大量合成化、及び電界電子放出材料開発のため、GaNナノワイヤの作製を実施した。ニッケルナノ粒子を触媒としたVLS機構による成長方法による形成過程を明らかにするため、成長機構の詳細な実験を行った。ナノワイヤ成長原料にはトリメチルガリウムとアンモニアを使用した。これら原料供給量を変化させたところ、いずれの場合もある一定量以上に供給すると、ナノワイヤが長さ方向だけでなく、直径方向にも結晶成長することがわかった。また、成長温度を1000℃程度まで変化させたところ、高温であるほど、直線性が高く成長速度の速いナノワイヤ成長が得られた。以上の結果は、今回の実験範囲内ではナノワイヤ成長が反応律則であることを示しており、原料使用効率が高いことが明らかとなった。また、VLS成長でよく見られるワイヤ先端の触媒粒子が、本研究ではほぼ消失していた。成長とともに触媒原子が結晶中に拡散していると予想される。このため、ナノワイヤは先端ほど細くなる針状形状をしている。電子放出冷陰極応用には、電界集中の観点から望ましい形状である。
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