等価誘電率が負となる構造中に等価透磁率の正負が周波数に対して変化する要素を付け加えて、左手型線路あるいは負屈折率媒質の基本構成法の提案を行い、また容量変化素子をこれに付け加えることで電気的に等価透磁率が可変となる線路を示した。 具体的には(1)導波管を遮断領域で使用することで、その中では等価的に負の誘電率が得られる。このような導波管を2つ重ねその間をスタブで接続することでオープンスタブが作られる。スタブ中には容量性エネルギーがたまり導波管側からこれを見ると負の透磁率と同等の特性が得られる。これを利用し低損失な左手系線路が実現できた、このときスタブ間に電気的可変な容量素子を接続すると左手系モードの分散特性が周波数軸上を移動した、これは周波数を固定して考えると、透磁率が正から負へ、あるいは別の周波数では負から正へ変わることに相当する。 (2)上記の導波管型左手型線路の考えを応用して、次のような負屈折率媒質構造を提案した。上下方向に周期的に並んだ導体線は縦方向に偏波した電磁波に対して先ほどの遮断領域導波管と同様に電磁波を遮断し負の誘電率特性が得られた。この導体線間の容量成分を利用して負の透磁率特性を持たせることで、バルク的負屈折率媒質を実現した。 (1)により低損失な実用的左手型線路が示され、透磁率可変特性を持たせることが出来た。また(2)により波の進行方向に垂直な平面内に広がりを持つ負屈折率媒質構造が示され、媒質の透磁率誘電率を可変するための基本構造が得られた。
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