研究概要 |
本研究の目的は、高温動作やセルフアライゲートのAlGaN/GaN HFETを目指し、高融点金属によるゲート、オーミック電極の形成とアニール過程における界面反応、電気特性の研究を行うことである。 n-GaN上にNi,Cuと、高融点金属のIr,Pt,Rh,Ruとその窒化物(TaN,TiN,HfN,ZrN)を成膜し、その膜性質とそれらを用いたショットキーダイオードの評価を行った。各サンプルを室温から200度まで動作特性と熱安定性を調査した。800度アニール後、TiNデバイスはほぼ変化がなかった。ZrNのリークは800度アニール後2桁程度減少した。障壁は低温の0.66eVから0.77eVに増加し、理想因子も低温の1.16から1.06になった。窒化物TiN,ZrNを用いてAlGaN/GaN HFETを製作し、デバイス特性を調査した。完成したデバイスを850℃、30秒間でアニールすると、特性が変わらなく、ゲートリークが減少したことが分かった。セルフアライゲートAlGaN/GaN HFETを研究するために、ゲート先のデバイスを試作した。TiN,ZrNを完成してから、Ti/Al/Ti/Au金属をつけた。次にオーム接触になるため、サンプルを一斉に850℃、30秒間アニールした。完成したデバイスが正しく動作することを確認した。 n-GaN上に高融点材料W,WTi,WSi,Mo,MoSiとその窒化物のショットキー特性を製作し、評価した。窒化物にすることでリーク電流が減少し、障壁が増加したことが分かった。その中、MoNのショットキー接触はNiAuと匹敵ほどの特性を得た。n値は1.03、φ_bは0.74eV程度となった。さらに、サンプルを300℃〜800℃まで100℃刻みで10分アニールしたあと室温での電気特性を評価した。MoNはアニール温度を上げると、徐々にリーク電流が増えショットキー特性が悪くなるものの、その変化はなだらかであるため、界面が安定していると思われる。TiNのウェットエッチングができた。TiNゲートを用い、セルフアライゲートAlGaN/GaN HFETの試作を行った。 以上の成果は耐熱デバイス、セルフアライゲートAlGaN/GaN HFETの開発の基礎技術になると思われる。
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