研究課題
光ファイバーに形成したファイバーグレーティング(FBG)は、光ファイバーのコア部に周期的な屈折率変化を与えたもので、入射した光の特定波長の光のみを反射し、他の光はすべて通過させる光フィルターである。このFBGは伝送損失が少なく、狭帯域の優れた反射特性および透過特性を有しており、光信号を利用する各種デバイス、装置、システムに、例えば、高密度波長多重光通信機器、レーザーダイオード外部共振器、ファイバーレーザー共振器、温度・歪み等の各種センサー等々に、幅広く応用展開されている。FBGは、通常は、位相マスク法で干渉縞を形成し、これを光ファイバーに転写して、そのコア部の屈折率の強弱を周期的に誘起して形成される。このようにして形成されるFBGの、誘起される周期的屈折率変調の振幅が、その全長にわたって一定の揚合、その反射スペクトル特性において反射中心波長の前後に長波長側および短波長側でサイドローブ(側波帯)が現れる。これは、FBGの特徴である狭帯域特性を劣化させる要因のみならず、クロストークの原因ともなり、通信応用だけでなくいずれの応用においても、このサイドローブの抑制が要求される。このためには、FBGの屈折率変調を連続的にスムーズに変化させるアポダイゼーションが有効であることが知られており、いくつか手法が開発されているが、十分なアポダイゼーション効果は得られていない。この深刻な要求に応えるべく、我々は、これまでにない新規のモアレ干渉を起させる手法を考案した。これは光ファイバー長手方向に約2〜4万個の屈折率変調を有するFBGの両端部で、FBG長を同一にして両端にそれぞれ1個だけ追加して重ね合わせることで屈折率変調振幅を端部へ向けてゼロに近づけアポダイゼーションを形成する手法である。この実現のためには、ミラー回転角を極端な超高精度で極微小量制御することが要求されるところ、我々は、独自に開発した変形2光束干渉法を駆使してそのミラーを極微小量回転させることで達成することが出来た。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
材料, Vol.571, No.2, pp181-184(2008) 571, 2
ページ: 181-185
光学 37, 3
ページ: 186-193