本研究の目的は、セラミックなどの誘電体基板上に複数の平面型アンテナを配置し、そのアンテナに直結したCPW(Coplanar Wave Guide)による広帯域インピーダンス整合回路を構成し、さらに今回新たに提案するマルチバンドパスフィルタを直結することで、マルチバンドアンテナー体型デバイスを開発ことである。 本年度(〜平成19年3月31日)の研究実績を示す。 Japanバンドである7.25GHzから10.3GHzをカバーするUWBアンテナを設計し、試作及び評価を行った。アンテナ基板には、高周波基板に用いられる誘電体基板であるFR4を用いた。比誘電率は4.25である。アンテナ形状は、前年度までに設計したスロットアンテナを用いた。さらに、広帯域化のための設計手法として、スロットアンテナをメインの共振とし、アンテナから基板先端までの距離及びアンテナ側面から基板までの距離を独立に制御することにより、マルチ共振を発生させた。さらに、その周波数及び入力インピーダンスを制御することで、Japanバンドの帯域を満足する広帯域アンテナを設計した。また、アンテナの小型化のため、スロット部の一部を折り曲げる構造とした。さらに、裏面にフローティンググランドを設けることにより、片面指向性アンテナも実現した。現有するネットワークアナライザによる反射特性を計測することにより、設計どおりの結果を得た。また、UWBリーダライタシステムにおける通信距離テストにより、通信可能であることを確かめた。
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