研究概要 |
(1)ニオビウム金属(Nb)を超伝導薄膜試料として,シリコン基板上にスパッタリング法で数十nmの厚さで堆積した.磁束密度分布の直接観測のため,まず,磁性流体の塗布を試料表面におこなった.しかし,液体ヘリウム温度では,磁性流体の溶媒が凍結し,さらなる検討が必要となった. (2)予備実験として強磁性体試料の近傍で,小型ソレノイドコイルを振動させ,数mVの起電力を生じることを確認した. (3)同じくNbを超伝導電極,自然酸化で得たアルミニウムAlの酸化膜をトンネルバリア材料として,200マイクロメーター角のNb/A1Ox/Nb超伝導接合を製作した.800から1000A/mで超伝導電流の最大値から30%程度まで超伝導電流が減少する.この領域では磁界を取り除けば超伝導電流値はほぼもとの値に戻り,外部磁界の走査に対して,履歴はない.1000A/mから2000A/m程度の印加で,超伝導電流最大値の10%程度まで減少するとともに,最大値を示す磁界が0からずれる現象があり,Nb/A10x/Nb接合自体への磁束侵入が暗示される.2000A/m以上の印加で10%以下まで減少するとともに,超伝導電流は復活しなくなる. (4)Nb/A10x/Nb接合製作技術を応用し,ニオビウム金属を超伝導電極にして,2接合を超伝導体で二つ並列に並べる構造の超伝導量子干渉計Superconducting Quantum Interferometer Devices(SQUID)製作を始めた.種々の条件を変えるため,高感度フイルムを用い自作マスクを作ることによりループインダクタンス等を種々に変え,変調周期が磁束捕獲面積に反比例して変わることを観察した.
|