目標1.計算の高速化(10倍以上)と省メモリ化(50%以下) 成果:研究の本質的な課題ではないが、計算速度の向上は研究を進める上で最重要課題のひとつである。前年度に構築したシステムで実行時間を分析したところ、CPU時間と通信時間がほぼ半分ずつであった。アルゴリズム改良により25%の高速化(CPU時間)を図り、また、INTEL CORE2 DUOを使用しCPU時間を約1/3とした。しかし、実行速度を上げるためには、通信時間の削減が必須であり、高価なハブとネットワークカードが必要である。今後はメモリ共有型計算機を含めたシステムの見直しを行うことにした。使用メモリはアルゴリズム変更により約25%削減した。 目標2.計算結果の妥当性検証 成果:ウィーン工科大学が公開するマイクロマグネティック解析ソフトウェア(MAGPAR)は平成19年11月に新しいバージョン(v.0.7)が公開された。磁気ヘッド解析用に改良し、単純化した記録ヘッドの静磁界計算が可能となった。得られた結果は、現有ソフト、MAXWELL方程式を解く有限要素計算と一致することが分かった。今後は動的計算の検証が課題である。 目標3.パターンド媒体への書き込みを検討すること 成果:動的計算により得たヘッド磁界の反転速度とビットパターン媒体のドット位置に対する考察を行った。その結果、1-2Tbit/in^2程度の比較的低い記録密度でもヘッド磁界の反転速度のほかに記録勾配が重要な因子であることが分かった。ヘッド磁界の反転速度向上には、磁性材料の制動定数を適当に選択することが特に重要であり、異方性定数に依らないこと、電流の立ち上がり速度を速く、オーバーシュートを加えることが有効であることを明らかにした。その他、マイクロマグネティック解析によるヘッド磁界計算に加え、媒体の残留磁化計算も共同研究として行い、多くの成果発表を行った。
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