研究課題/領域番号 |
18560356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
松浦 秀治 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60278588)
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研究分担者 |
谷口 一雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (50076832)
須崎 渉 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00268294)
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キーワード | X線検出素子 / 蛍光X線 / Silicon Drift Detector / 半絶縁性半導体 |
研究概要 |
1.Si半導体を用いたX線検出素子の高エネルギーX線感度向上 抵抗率が2kΩcmと10kΩcmのSi基板(膜厚:0.3mm)を用いて、SDD(silicon drift detector)型pin素子を作製し、素子の漏れ電流と放射線源(^<241>Am:59.5keV)を用いてX線検出特性を調べた。 従来のSDD構造は複雑なため、歩留まりが悪いことが分かった。そこで、従来のSDD構造に含まれるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を取り除いた、簡単なSDD構造を提案し(特許出願済み)、作製した。その結果、歩留まりが向上し、かつ従来のSDD構造と同程度のX線の分解能を得られることが分かった。 高エネルギーx線を検出するためには、Si基板膜厚を厚くする必要がある。基板全体を空乏層化するためには、素子に印加する電圧を高くするか、またはSi基板の抵抗率を上げる必要がある。しかし、印加電圧を高くすると、pin接合に流れる漏れ電流が多くなり、X線の分解能が低下する。そこで、抵抗率の高いSi基板の可能性を調べた。その結果、SDD構造特有の印加電圧のかけ方をする為、10kΩcmのSi基板の場合、pin接合以外での漏れ電流が増えることがわかった。しかし、その漏れ電流の増加原因を調べた結果、10kΩcmのSi基板でも漏れ電流を増やさずに、X線の分解能を高くする方法を見出した(特許出願予定)。 以上のように、本研究の目的である、漏れ電流を抑えながら、高エネルギーX線を検出できる素子開発への足がかりが見つかった。; 2.半絶縁性半導体を用いた室温動作可能なX線検出素子の開発 半絶縁性4H-SiC基板を購入し、Schottky型X線検出素子を作製した。この素子の漏れ電流は、期待していた0.1nA以下が室温で達成できた。つぎに、^<241>Am放射線を用いてX線検出特性を調べたところ、照射されたX線エネルギーに対応する電気信号が始めて得られた。 以上のように、本研究の目的である、室温で動作できる半導体が見つかった。
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