近年、大容量データ通信の需要が拡大しており、高い経済性と周波数効率を有する波長多重光通信システムはその重要性を増している。高密度波長多重(DWDM : Dense WDM)通信では、50-GHzチャネル間隔が国際標準の1つとなっている。このようなDWDMシステムではチャネル間の周波数安定性を確保する必要がある。そのため、各半導体レーザ(LD)に波長ロッカーを装着し、発振周波数の揺らぎを数GHz以下に安定化している。しかし、何10ものLDの周波数安定性を長期にわたり低コストで実現することは容易ではない。 そこで、本研究では、1つのLDから発生した光周波数コムをDWDM用の多波長光源として用いる方法を提案した。この光源は1つの半導体レーザに特別な位相変調をかけ、アレイ導波路格子(AWG)により分波することで、通信チャネルに必要な50GHz間隔の多波長(20波以上)を生成する手法を検討した。明らかに、周波数安定化するレーザは1台、予備のレーザも1種類だけでよい。 本年度は多波長光源の構築を行い、まず、1チャネル分について、ビット誤り率(BER)およびアイパターンの測定を行い、多重伝送への適用性を検討した。実験により、10 Gbps NRZ信号の100kmファイバ伝送に対して、10-12のビット誤り率が確認された。また、(i)二波変調した場合、(ii)一波のみ変調した場合のBER特性が一致していることから、DWDM信号の分離が可能であることがわかった。
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