研究概要 |
Shannon限界に迫る符号化方式として注目されている,LDPC(Low-Density Parity-Check)符号に関する未解決問題として,(1)出来るだけ詳細に規定された符号アンサンブルを導出し,その性能評価を効率的に行なうこと,(2)装置化を考慮した,代数的な構造を有するLDPC符号の構成法,などが上げられる. 本研究では,上記の問題に対する解決策として,(1)Multi-Edge型と呼ばれる新しい非正則LDPC符号アンサンブルの提案とその性能評価に必要な密度発展(Density Evolution)アルゴリズムの開発,(2)LDPC符号のクラスである,修正エキスパンダ符号,アレー符号に対して,ランダム性と代数的構造のバランスをとった,装置化が容易で高性能な符号の構成法,の検討を目的とする.その結果,主な成果として,下記を得ている. (1)『対称性』と呼ぶ,Multi-Edge型非正則LDPC符号を規定する基本構造を明らかにすることにより,Multi-Edge型の非正則LDPC符号の符号アンサンブルが組織的に記述出来,これに適合した密度発展アルゴリズムを開発して効率的な性能評価を可能とした. (2)修正エキスパンダ符号に対する一般化最小距離繰り返し復号法を提案し,Justesen符号に類似の構成法により,線形時間復号可能でかつ漸近的に良い符号を"陽に"与えると共に,低密度最大距離分離アレー符号の新たな構成法を与え,これが最小の更新計算量で実現出来ることを明らかにした.
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