研究概要 |
P2Pネットワークに代表されるオーバレイネットワークにおいては,トランスポート層より上位のオーバレイレベルでの制御によってデータ転送が行われる.オーバレイネットワークにおけるファイル転送遅延は論理ネットワークと物理ネットワークの双方のトポロジーに大きく依存すると考えられる.本年度はフラッディング検索機構を有するファイル共有型P2Pネットワークの基本的な性能評価に関して研究を遂行した.具体的には,4端末・4ルータ物理網より構成されるP2P網を二層型待ち行列網でモデル化し,論理レベルと物理レベルのトポロジ不一致性とフラッディング検索機構がファイル取得時間に与える影響を定量的に評価した.数値実験より,高いノード次数を持つネットワークトポロジは低負荷時において性能が高い一方,高負荷時には急激に性能が劣化することが判明した.従来の研究ではシミュレーション実験や計測に基づく評価が中心であり,二層間のトポロジ不一致性が通信性能に与える影響を理論的に解析している部分が本研究の新しくかつ重要な点である.
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