研究課題/領域番号 |
18560378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
棚田 嘉博 山口大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70033248)
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研究分担者 |
松藤 信哉 山口大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (00173873)
松元 隆博 山口大学, 大学院理工学研究科, 助手 (10304495)
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キーワード | センサネットワーク / CDMA通信 / 測位システム / 自己直交有限長系列 / ハフマン系列 / スペクトル拡散 / 相関関数 / 被積分符号 |
研究概要 |
本研究では、センサネットワーク、アドホックネットワークの要素技術として、自己相関関数が両端の微小値を除いてインパルスとなる有限長系列を用いてユーザ識別と位置センシングが同時にできる非同期スペクトル拡散多重伝送方式の開発を行うことを目的としたものである。本年度の研究実績を以下に要約する。 (1)系列の絶対値と相互相関関数の絶対値が小さい系列組の研究 絶対値が小さい系列の組を構成し、部分系列の置換によって相互相関を抑える方法を導いた。 (2)他局間干渉およびマルチパス干渉の算定と信号弁別に関する研究 他局間干渉および直接波とマルチパスのある伝搬環境の特性を調査し、信号検出をシミュレーションで評価した。 (3)非同期CDMAの符号構成と性能に関する研究 バースト的な系列および相互相関に0値を多く含む長い系列で符号を構成した。また、畳み込みに基づく速度可変の符号を構成した。そして、2値被積分符号による伝送での相関出力の干渉と誤差を明らかにした。 (4)位置センシング方式の構成に関する研究 送信アンテナ1基に対し受信アンテナ3基を三角形の頂点に配置し、信号の到達時間差から定まる双曲線の交線から位置を算出する方式を構成した。相関パルスの時間差の検串法を提案し、距離分解能を明らかにした。 (5)被積分符号発生器とマッチトフィルタの構成法に関する研究 2値被積分符号発生器のROMによる構成法、マッチトフィルタ群の最小素子数での構成法を明らかにした。 (6)基礎データ収集用スペクトル拡散実験システム設計 広帯域ディスコーンアンテナを送信側に1基、受信側に3基設置し、10MHzのクロック周波数で発生した1040ビット長の被積分符号を200MHzの搬送周波数で変調、送信し、復調、相関検波する実験システムを設計した。 (7)スペクトル拡散伝送による基礎データ収集実験 実験システムの動作確認を行った後、室内でアンテナによる符号伝送実験を行った。伝搬遅延、受信レベル、背景雑音、相関特性を測定した。これらの実験から、各信号の適切なレベル配分、実装法の改善が課題となった。 (8)平成18年度の研究のまとめ 数値計算、シミュレーションにより理論の妥当性は確認され、基礎実験により、ハードウエア実現のための参考データが得られた。これらの結果は一部を学会発表すると共に、次年度の研究に役立てる。
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