研究課題
(1)Ku帯TDD方式の特性測定:Ku帯-TDD方式の設計に当たっては、2信号間の遅延時間をどの程度にすべきかがKu帯TDD方式の実用化の可能性が左右される重要な値である。今年度は、これらの疑問点を解明するために、測定系のプログラムを作成するとともに、データ取得実験を進めた。現有の、測定系は、BS、JCSAT-3号衛星を受信するための5基のアンテナ(アンテナ直径(台数):40cm(4)、65cm(1))、を使用して衛星信号の特性を継続的に取得し、TDD方式特性の基礎データを収集した。一部分のデータを処理した結果、約20〜30分の遅延で、回線稼働率の改善効果があることが明らかとなった。さらに、Ku帯信号受信専用アンテナ装置、5局(3mφ(1)、2.4mφ(1)、1mφ(3))を使用して、110°E〜154°Eに配置されている衛星からのTDD方式特性の基礎データをうるための測定系を準備している。最新の成果の一部は、IEEE AP-S(アンテナ・伝搬シンポジューム)に投稿し採録され、平成20年7月に発表する。(2)Ku帯TDD/Sat.D方式の特性測定:これまで、Sat.D方式の特性データはかなり収集されているが、最近の異常気象により、短期の測定データでは、詳細設計には不十分である。本年度は、Sat.D方式のデータをさらに充実するとともに、Ku帯TDD/Sat.D方式の適用による回線稼働率の改善効果を定量的に明らかにするためのデータを収集した。また、具体的な、Sat.D方式を実現するための装置を実装し、長期データを収集している。BS(110°E)、JCSAT-3号衛星(128°E)の衛星の18°の軌道間隔で、約5dBの降雨マージンで、約1桁(1/10)の回線稼働率の改善効果があることが明らかとなっている。今後は、これらの長期データ、理論的検討が必要である。(3)Lune-Qアンテナの低減衰特性:従来のパラボナアンテナなどに比べて、Lune-Qアンテナの降雨時の減衰が非常に小さいことを収集したデータから発見し、この原因を検討してきた。各種の実験を行った結果、アンテナの給電部分への着水が大きな原因であることが判明した。負傾斜型無着雪カバーを有したLune-Qアンテナの使用によって、降雨減衰を少なくでき、降雪によるアンテナ着雪による減衰も回避できることが証明でき、実用化の見通しを得た。最新の成果の一部は、IEEE AP-S(アンテナ・伝搬シンポジューム)に2件投稿し採録され、平成19年6月に発表した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件)
The Institute of Electronics and Communication Engineers(IECE) Vol.E91-B-II(in printing)
2007 IEEE AP-S International Symposium IF225-2
ページ: 1-4
2007 IEEE AP-S International Symposium 209.6
電子情報通信学会技術報告、衛星通信研究会 SAT2007-18
ページ: 31-36
電子情報通信学会技術報告、衛星通信研究会 SAT2007-19
ページ: 37-40
電子情報通信学会技術報告、アンテナ伝搬研究会 AP2007-19