研究概要 |
(1)Ku帯Sat. D方式の特性測定結果:これまで、Sat. D方式の特性データはかなり収集されているが、具体的な装置を試作して測定したデータは、国内外の機関、大学などでは獲得されていない。本年度は、Sat. D方式の理論的データをさらに充実するとともに、Ku帯TDD/ Sat. D方式の適用による回線稼働率の改善効果を定量的に明らかにするためのデータの収集を目標とし、具体的な、Sat. D方式を実現するための装置を実装し、長期データを収集し、期待された成果が得られた。実験は、BS(110°E),JCSAT-3号衛星128°E)の衛星の18°の軌道間隔に対して測定した。信号減衰対年間の不稼働率の図において、約5dBの降雨マージンのレベルで、約1桁(1/10)の回線稼働率の改善効果があることが明らかとなっている。今後は、これらの長期データ、理論値との整合性の検討が必要である。最新の成果の一部は、IEEE AP-S(アンテナ・伝搬シンポジューム)に投稿し採録され、平成21年6月に発表する。さらに、7月の電子情報通信学会の衛星研究会などに発表する予定である。 (2)Ku帯TDD方式の特性測定:Ku帯-TDD方式の設計に当たっては、2信号間の遅延時間をどの程度にすべきかがKu帯TDD方式の実用化の可能性が左右される重要な値である。これまで、この疑問点を解明するために、測定系のプログラムを作成するとともに、長期データ取得実験を進めた。 現有の、測定系は、BS,JCSAT-3号衛星を受信するための5基のアンテナ(アンテナ直径(台数):40cm(4)、65cm(1))、を使用して衛星信号の特性を継続的に取得し、TDD方式特性の基礎データを収集した。一部分のデータを処理した結果、約20〜30分の遅延で、回線稼働率の改善効果があることが明らかとなった。さらに、(1)で述べたKu帯Sat. D方式の特性と組み合わせたKu帯TDD/Sat. D方式の特性についてもデータが収集されており、ダイバーシティ関係の統一的な論文として、経済的観点も含めて纏める予定である。
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