2006年9月23日にJAXA(宇宙航空研究開発機構)のM-Vロケット7号機のサブペイロードとして、一辺が12cm程度の立方体形状の超小型人工衛星(HIT-SAT)が打ち上げられ、周回軌道に投入することに成功した。HIT-SATは北海道工業大学が中心となり、北海道大学やその他の研究者が開発した北海道初の人工衛星である。HIT-SATは地上との通信手段としてアマチュア無線帯を使用しているため、アマチュア衛星に分類される。アマチュア衛星の規格を満たし、軌道上での動作が確認されたため国際的な組織であるAMASAT(アマチュア衛星通信協会)から、正式にアマチュア衛星として認められた場合に付与されるオスカーナンバー(HO-59)が割り当てられた。 軌道が太陽同期の極軌道であるため、日の出と日の入り前後にしか通信が出来ず、しかも低軌道であるため1回のパスで通信できる時間が最長でも10分程度である。混信がなければ、良好にアップリンク・ダウンリンク共に可能であるが、HIT-SATの追跡管制運用を行う札幌市内の北海道工業大学では混信が多く発生して、姿勢制御実験データなどのダウンロードに支障をきたしている。そこで、大学から約7km離れた札幌市内と約80km離れた赤平市内の工業団地に北海道工業大学と同じ無線機とアンテナ装置類を設置して、サイトダイバーシチ効果で有効受信率の向上をはかった。特に、赤平市内の受信局は地理的に地上からの混信を受けにくいため、受信効率が極めて向上した。また、赤平局は、インターネット経由の制御で受信局を制御しデータを転送できるシステムを開発して運用している。 日本国内のみならず世界中のアマチュア無線家がHIT-SATの信号を受信して、データをインターネット経由でサーバにアップロードしてくれるため、HIT-SATの姿勢状態なども推定できるデータを得ることが出来た。
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