本研究は、アルファベットサイズが巨大または無限大の情報源や、特に上限を定めない正整数を、情報の生起確率によらずある程度良い性能で2値符号化することに関するものである。任意の正整数(以下、nと表わす)の符号語長(単位はビットである)をnの関数と考えたとき、この符号語長関数のオーダの低減へのアプローチが進んでいる。そして、数式による符号語長は既知でも、時間計算量O(log n)での符号語割り当てが未解決の符号語長関数もいくつか存在する。本研究では、未解決の符号語長関数への具体的な符号語割り当て方法の確立と、オーダがより小さい符号語長関数の探索を目指す。符号語長関数への具体的な符号語割り当ての研究について、平成18年度は以下のように研究を行った。 対数スター関数に対して高々2ビット長い符号語長関数への符号語割り当てについて、複数のアイデアを試し比較検討し、状態遷移を用いて符号化する手法が、時間計算量O(log n)で符号化可能であり実装容易なメモリ使用量で収まることを確認した。また、符号語割り当ての主要部のアルゴリズム設計を終えた。 Ahlswede・Han・Kobayashiによる修正対数スター関数を用いた理論的符号語長関数への符号語割り当てについて、対数スター関数の項の数でグループ化するグループ化方式の符号化で可能であるという理論的見通しを得た(平成18年11月の情報理論とその応用シンポジウムで発表)。
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