本研究は、アルファベットサイズが巨大または無限大の情報源や、特に上限を定めない正整数を、情報の生起確率によらずある程度良い性能で2値符号化することに関するものである。任意の正整数(以下、nと表わす)の符号語長(単位はビットとする)をnの関数と考えたとき、これまでにもこの符号語長関数のオーダの低減へのアプローチが進んでいる。そして、数式による符号語長は既知でも、時間計算量O (log n)での符号語割り当てが未解決の符号語長関数もいくつか存在する。本研究では、未解決の符号語長関数への具体的な符号語割り当て方法の確立と、オーダがより小さい符号語長関数の探索を目指す。平成19年度は、符号語長関数への具体的な符号語割り当ての研究について、以下のように研究を行った。 対数スター関数に対して高々2ビット長い符号語長関数への符号語割り当てについて、平成18年度までに選択・決定した状態遷移を用いて符号化する手法の基本アルゴリズムに基づいて、符号語割り当ての主要部である状態遷移表の内容を確定した。これまで具体的符号として実現されていなかった符号語長の達成が、比較的小さい状態遷移表と単純な計算処理で可能になった。 また、Ahlswede・Han・Kobayashiによる修正対数スター関数を用いた理論的符号語長関数への符号語割り当てについて、平成18年度までに実現性を理論的に確認した対数スター関数の項の数でグループ化するグループ化方式の符号を、コンピュータプログラムで実現した。修正対数スター関数の符号語長が具体的に達成可能になった。
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