本研究は、アルファベットサイズが巨大または無限大の情報源や、特に上限を定めない正整数を、情報の生起確率によらずある程度良い性能で2値符号化することに関するものである。任意の正整数(以下、nと表わす)の符号語長(単位はビットとする)をnの関数と考えたとき、この符号語長関数のオーダの低減へのアプローチが進んでいる。そして、数式による符号語長は既知でも、時間計算量O(log n)での符号語割り当てが未解決の符号語長関数もいくつか存在する。本研究では、未解決の符号語長関数への具体的な符号語割り当て方法の確立と、オーダがより小さい符号語長関数の探索を目指す。 平成20年度は、以下のように研究を行った。 1 対数スター関数に対して高々2ビット長い符号語長関数への符号語割り当てについては、19年度までの研究を元に、状態遷移を用いて符号化する手法で、一般の正整数を符号化及び復号する基本的アルゴリズムを完成した。 2 Ahlswede・Han・Kobayashiによる修正対数スター関数を用いた理論的符号語長関数への符号語割り当てについては、19年度までの研究を元に、対数スター関数の項の数でグループ化するグループ化方式の符号化による符号語割り当ての符号化と復号のアルゴリズムを完成した。本研究で目標としている理論的符号語長関数の定数項の算出例はこれまで殆どなかったが、関数のパラメータに依存しない一般的算出の糸口をつかんだ。
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