本研究は、アルファベットサイズが巨大または無限大の情報源や、特に上限を定めない正整数を、情報の生起確率によらずある程度良い性能で2値符号化することに関するものである。任意の正整数(以下、nと表わす)の符号語長(単位はビットとする)をnの関数と考えたとき、この符号語長関数のオーダの低減へのアプローチが進んでいる。そして、数式による符号語長は既知でも、時間計算量O(logn)での符号語割り当てが未解決の符号語長関数もいくつか存在する。本研究では、未解決の符号語長関数への具体的な符号語割り当て方法の確立と、オーダがより小さい符号語長関数の探索を目指す。平成21年度は、以下の研究を行った。 1符号語長の評価について、Eliasによって、任意の確率分布での正整数符号の使用におけるエントロピーとの差異を、平均符号語長の関数とエントロピーとの比で評価する提案がなされている。Eliasはいくつかの符号について上界を与えている。これに対して比が極大になる場合の検証を実験的に行い、具体的な符号語を有する代表的な正整数符号4つについて、平均符号語長とエントロピーとの比の上界がEliasが理論的に示した関数よりも小さいことを部分的に示した。 2正整数符号化の応用として、デジタル画像のフラクタル表現で、オフセット値の符号化においてグループ化方式の正整数符号化の考え方を用いてオフセット値の具体的符号語生成をすることで、画像の他の符号化法を使用しないで逆フラクタル表現を可能にした。性能はJPEGと同程度の場合もある。
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