研究概要 |
本年度は本研究課題最終年度ということで,提案するデバイスハンドオーバー・システムの製作を完成させ,ハンドオーバー遅延というパラメータを指標にシステムの性能評価を行った. 製作に最も時間をかけたテレビ電話は,パーソナルコンピュータに,入出力デバイスとしてビデオカメラ,マイクロフォン,ディスプレイ,および,スピーカを接続したソフトウェア端末であり,呼接続プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用した.各々の入出力デバイスは個別に制御することが可能であり,一部の機能を停止することによって単一デバイスとして利用することができる.このように,ひとつのデバイスを4通りのデバイスとして利用可能である点から,本システムは非常に汎用的であり,かつ,低コストであることが示された.また,デバイスハンドオーバーのトリガーとなる携帯型赤外線リモコン(PDAに実装)に,昨年度提案したセキュリティモジュールを実装した.具体的には,携帯電話のSIMカードと同様にPDAに挿入されるSDカード内に個人認証を行うセキュリティコードを埋め込むことにより,許可されていないユーザがハンドオーバーを実行することを防ぐ工夫を施した. 性能評価に関しては,SIPを用いたデバイスハンドオーバー・シーケンスにおける遅延時間を測定することによって行った.実験の結果,シミュレーションによって机上で計算された値とほぼ同等の遅延でハンドオーバーが完了することが証明された.また,この数値は数十msという短時間であり,ユーザにとってストレスのかからない時間であることも実証された.
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