研究概要 |
本研究の目的は,ファジィ推論等の演算をネットワーク状に結合してモデリングする手法(Fuzzy Interface Unit Network : FIUNと呼ぶ)及びその自律分散処理系を用いて,3つの異なる高機能で実用的なシミュレータを構築することであり,それらのシミュレータによってそれぞれの実際の問題を解析することである.18年度は3つのシミュレータについて以下の研究を行った. (1)1つ目のシミュレータは,渋滞解析や信号制御方式設計を目的とした道路交通シミュレータであり,18年度はまず調布駅前市街地を対象にシミュレータMITRAMへ車両から排出される窒素酸化物(NOx)の排出量を推定する機能を設け,交差点における時々刻々の排出量変化をシミュレーションを通じて調べた.また信号制御とNOx排出量の関係が深いことを明らかにした.同様な対象地域で二酸化炭素(CO_2)動車の導入の効果を調べた.また高知市41交差点を含む比較的広域の都市部を対象にシミュレーションを行い,オフピークが渋滞解消に効果的なことを調べた. (2)2つ目のシミュレータは,MITRAMにドライビングシミュレータを接続して構築した能動安全解析を行うシミュレータである.18年度は車両(ここではオートバイ)が車線変更を行う場合,どのような危険性があり,またどのような支援を行うと危険回避に効果的か様々な状況を設定してシミュレータにより調べた.シミュレーションの結果では,前方車両への追突を防止する支援が極めて効果的なことが定量的に把握できた. (3)3つ目は市街地の車両の動きを監視する監視カメラシステムの構築のためのシミュレータである.18年度は2つの研究を行った.1つは複数のカメラ同士が強調して監視するシステムの設計で,そのために役割分担をして行うのが効果的なことが明らかになった.もう1つは市街地のカメラ設置場所の探索で,ヒューリスティックな探索法を考案し,少ないカメラ台数で効果的な配置が行えることをシミュレーションによって検証した.
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