研究概要 |
群知能システムを構築するための種々の理論研究の成果を発展させた。特にマルチエージェントの協調学習,強化学習の基本問題(次元の呪い,状態のみなし問題等)について,シミュレーション・実装方法両面の研究を進めた。具体的には,複素強化学習のアルゴリズムについて,複素Q-learningおよび複素Profit Sharingについて大きな進展が得られた。このアルゴリズムを用いることで,認知障害者支援などのコンテキストアウェアネスエージェントの基盤技術を整えることができた。 次に,さまざまなユビキタスロボット群が群知能構成エージェントとしてシステムに容易に参入可能なフレームワークを確立した。具体的事例として,自律移動可能な知的車椅子と,カメラロボットを複素ニューラルネットワークで自律的に連結する仕組みをとりいれ,利用者の日常的な振る舞いを学習し,安全に走行する学習機能を実現した。このフレームワークを用いることで,様々なロボット間での自律的協調動作獲得が容易になり,本研究がめざす分散知能環境のインフラ技術を構築することができた。 これらの基礎・基盤技術をもとに,知的車椅子の開発,認知障害者支援システムの開発を進めた。知的車椅子については,利用者,介助者,知的車椅子が連携しあう協調動作の獲得にいたった。認知障害者支援システムでは,利用者の日常の行動コンテキストを,マルチエージェント協調学習の一種である黒板モデルを用いて認識し,ヒト・モノ・コトの行動経路の指示・注意を動的に行う世界初のシステムプロトタイプ構築にいたった。
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