研究課題
高度未来福祉の創成をめざした基礎技術の発展とシミュレーションによる検討、アプリケーションによる実証実験までを完了させた。その事例としてユビキタスネットワークロボットを想定し、限られたセンサ空間であっても効率的に情報空間を構成し、タスクに応じた学習を自律的に行う手法の提案を行った。具体的には下記のような成果が得られた。1.離散的なセンサ情報から、多角形の仮想の屋内モデルを構成し、その鳥瞰図マップを状態空間として扱う手法を提案した。鳥瞰図マップは2次元イメージとして認識され、さらにSOMを用いて有限個の状態空間に分類することに成功した。この状態空間を用いることで、センサの数や精度に依存しない状態空間を構成でき、さまざまなロボットが協調しあうための知能化空間の基盤をつくることができる。2.強化学習の基本的問題である不完全知覚問題について、状態行動対に対する価値を複素数で表現する手法を完成させ、環境同定学習であるQ学習と、経験強化型学習であるProfitSharingの2つのアルゴリズムについて学習アルゴリズムの改良を図った。複素空間上で価値を表すことにより、コンテキストに依存した学習が極めて簡単な構造から実現できることを示した。3.上記技術の実用性を検討するために、自律移動型の福祉ロボットの1例として、知的車椅子ロボットを試作した。タグを埋め込んだ環境中で他ロボットと協調しながら知的な振る舞いを獲得できることを示した。以上の研究を経て、安価で経済的な新しい知能化空間の実現方法について明らかになった。
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