味覚は多くの種類の化学物質が作用して生じるために、それを検出するセンサは多種類のセンサを組み合わせたマルチチャネル型のセンサにする必要がある。そこで、本研究は、電磁障害に強く、フレキシビリティーが高く、化学的機能性を付与しやすい特長を有する小型軽量なプラスチック光ファイバ(POF)に注目し、リーキー・導波変換型POFセンサおよび電位感受性色素ドープPOFセンサの2種類の動作機構を用いたセンサヘッドを作成し、味物質の光学的な検出を目指している。本年度は主に種々の味物質検出に適したプラスチック光ファイバセンサの作成と基本的特性の測定をおこなった。 1.リーキー・導波変換型POFセンサ ポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリビニルフロライド(PVDF)の混合ポリマをセンシングクラッドとするPOFセンサを作成し、酢酸に対する応答を測定した。POFの特長である加工の容易さに着目し、さまざま形状のPOFセンサヘッドを作成し、それぞれに対する計算値シミュレーションと実験を行った。その結果、D型形状のものが最適であることが明らかになった。 2.電位感受性色素ドープ型POFセンサ ポリマに電位に対して蛍光強度を変化させる色素と脂質を混入させ、それをセンシング部とするオプトロード型POFセンサを作成した。複数種類の色素ドープ脂質膜を作成したが、特に、オレイルアミンを脂質として含むセンサヘッドが甘味に対して強く応答することが確認された。
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