味覚は多くの種類の化学物質が作用して生じるために、それを検出するセンサは多種類のセンサを組み合わせたマルチチャネル型のセンサにする必要がある。そこで、本研究は、電磁障害に強く、フレキシビリティーが高く、化学的機能性を付与しやすい特長を有する小型軽量なプラスチック光ファイバ(POF)に注目し、味物質の光学的な検出を目指している。本年度は、センシングクラッド層となりうる機能性膜として、電位感受性色素を含んだ単分子累積膜層上に、脂質膜を数層累積した構造のLB膜を作成し、その味物質に対する蛍光強度特性を測定した。 ■センシング機能性膜の作成 電位感受性を有するヘキサデシル基を付加したローダミンB色素と、アラキン酸の混合単分子膜をLB法によってガラス基板上に5層〜9層累積したLB膜上に、ステアリン酸メチルを2層〜8層累積することによって作成した。 ■味物質に対する応答 苦味物質である、キニーネ、Lトリプトファンに対して本LB膜は、濃度に依存してその蛍光強度を大きく変化させた。表面層であるステアリン酸メチルの効果を検証するために、ステアリン酸メチルの累積した膜とそうでない膜を比べたところ、キニーネ等に対する感度が2倍程度異なることが明らかになった。また、応答速度や繰り返し応答の向上が見られた。
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