研究課題
基盤研究(C)
本研究では期間内に、(1)実際に地表面および地中空間内での電磁界変動信号を同時観測するための観測システムの構築を完了し、(2)年間を通して観測を継続し、(3)得られた観測データを理論的な解析結果と比較検討することにより観測結果を理論的に説明できるようにする、ことが目的である。18年度は、計画した観測システムの構築を完了し、観測を開始してデータを蓄積した。(a)観測センサー地中空間内の電磁変動現象を明確に説明するための電磁気学的モデルを確立するためには最低限、電界変動および磁界変動の地表面および地中空間内での同時観測が必然的に要求される。これらの変動信号を観測するため非常に感度の優れたセンサーを全く新たに製作した。すなわち、平行平板型容量性電極による3方向(水平2方向、垂直方向)の電界観測およびループアンテナによる3方向の磁界観測などが可能となった。地中空間内でのこれらの物理量は、方向によっては非常に小さくなると考えられるため、平行平板電極およびループアンテナなどは非常に大きなものを準備した。地表面での電磁界変動信号を同時観測するため、地中空間に設置された3方向磁界観測ループアンテナと全く同様のアンテナを地中空間直上の地表面に設置した。(b)記録システム上記の各観測要素についてのデータを記録する記録装置はサンプリング時間として50ns程度の時間分解能を有する多チャンネルディジタル記録計を準備した。地中での観測では、一般に時刻校正が難しいが、本観測システムではGPSアンテナを地上に設置し、地上から立坑を通して観測室まで約100mのケーブルを用い観測室に設置の高精度GPS時刻出力装置に入力することで1マイクロ秒の時刻精度の実現している。落雷の絶対時間を校正することで、公表されている雷放電発生点や放電電流値などの情報との比較検討が可能となる。18年度は観測システムの構築に時間をかけたが、地中空間および地表面での同時観測で十分に信頼性のある電磁界信号の観測が可能であることを確認することができたと考えられる。今後、観測を長期間継続することにより、多くの貴重な観測データが得られると期待できる。また、落雷などで発生した電磁界が地中空間でどのようになるかをシミュレーションするため、新しい技法であるCIP法による電磁界のシミュレーションについての検討も進め、この技法について新しい知見を得ることができた。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
IEEE Trans. Electromagnetic Compatibility vol. 49, No. 1
ページ: 163-169
IEEJ Transactions on Electrical and Electronic EWnjineering vol. 1, issue2
ページ: 182-187