研究概要 |
19年度は,計画した10-100kHz帯域の電磁界変動信号の観測システムの構築を全て完了し,さらに,0.1秒サンプリングでの準定常的な電磁界変動信号の観測システムについても整備し,前年度に引き続き,観測を継続してデータを蓄積した。すなわち,1.電界変動および磁界変動の地表面および地中空間内での同時観測が可能となる10-100kHz帯域における非常に感度の優れたセンサー(3方向の電界計測用平行平板型容量性電極および3方向の磁界計測用ループアンテナ)を設置,およびそれらによる電磁界変動信号データの収集,2.地表面および地中空間における秒単位のゆっくりした電磁界変動を観測できるフィールドミル電界計およびフラックスゲート磁力計の導入と,それらによる観測データの集積,3.サンプリング時間として50ns程度,およびms程度の時間分解能を有する2系統の多チャンネルディジタル記録システムを準備,4.地上に設置したGPSアンテナから,約100mのケーブルを用い,地上から立坑を通して観測室に設置した高精度GPS時刻出力装置に入力することにより1マイクロ秒の時刻精度の実現,などである。18年度の観測システムの構築およびシステムの十分な調整により,地中空間および地表面での同時観測における十分に信頼性のある電磁界信号の観測が可能であることを確認すると同時に,19年度は貴重な観測データを蓄積することができたと考えられる。また,地震現象などに伴う地中空間内部での電磁界変動信号について,いくつかの大きな地震について地震波伝搬時の変動信号の存在を確認することが出来た。本研究では,さらに,落雷などで発生した電磁界が地中空間でどのようになるかをシミュレーションするため,新しいシミュレーション技法であるCIP法の進展を計った。すなわち,同法と広く普及しているFDTD法との比較を電磁界および音波シミュレーションに適用し,CIP法の優れた点などを明確にするなど,この技法について新しい知見を数多く得ることができた。
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