研究概要 |
上腕二頭筋を対象にして4chの筋音図を計測した.被験者は健常男性6名(22〜24歳)である.被験者は座位で上半身を椅子に固定されている.上腕は体幹に接触しないように体幹と平行とし,肘を90度屈曲した.前腕は回外位とした.筋音センサの貼付間隔は筋腹を中心に,20,25,30mm間隔の4通りとした.被験者には,10,20,30%MVCの収縮力を3秒間発揮させた.計測した筋音図を全波整流平滑化して積分筋音図を求めた.また,筋音図のパワースペクトルおよび平均周波数を求めた.その結果,収縮レベルの増加にともなって伝播時間が短縮された.また筋腹付近の積分筋音図の振幅が大きく,近位および遠位側では振幅が減少した.パワースペクトルからは,収縮レベルの増加に伴い,高周波成分が強く現れた.これらのことは,収縮レベルの増加に伴い,速筋線維が動員されていることを示す. 次に,筋音図と筋電図の同時計測を行い,伝播速度を求めた.筋音図と筋電図のいずれも収縮レベルの増加に伴って伝播速度が増加した.また筋音図の伝播速度が速かった.この現象を説明するため,筋電図の伝播速度で移動する音源のモデルを検討したところ,音源から発せられる振動の減衰率を適切に定めるこよによって説明できることが分かった. さらに,神経刺激による筋音図の応答から,筋音図発生の伝達関数を推定した.その結果,部分空間法を用いて10次の線形モデルで近似できることを明らかにした.
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