研究概要 |
本年度の研究では、これまでの研究で確立した適応ロバスト制御の産業応用を中心に研究を進めた。具体的には、産業応用上きわめて重要なモータ駆動システムに対して本方法を応用して、大幅な負荷に対応でき、しかも、現場チューリングの要らないサーボ技術の開発行なった。現在までに、以下の研究成果を収めた。 1.去年までは、ISS小ゲイン条件を満たすための設計法として状態フィードバックとKreisselmierオブザーバの極の実部(すなわち、応答の収束速度)だけを制約するアプローチを取っていた。このために、フィードバックゲインが過大になりがちで、入力電流の振動を招いた。これを改善するために,状態フィードバックとKreisselmierオブザーバの極を円領域に制限することに変更した。それによって、ISS小ゲイン条件を満たしつつ、フィードバックゲインを低く抑えることができた。これによって、入力電流の振動を抑制できた。 2.実験検証の結果、30倍の負荷変動、3倍以上の軸バネ定数変動に対応できる適応ロバスト制御技術の構築に成功した。 3.本研究で開発した適応ロバストモータ駆動系サーボ技術は、いままでにない革新的な制御技術であり、産業に大きく貢献できるものである。 4.適応ロバスト制御理論の有効性が実証されたことによって、ほかの産業応用への道が開かれたと言える。
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