研究概要 |
本研究は,高信頼な離散事象制御システムの構成法を確立することを目的としている.近年,人間-機械システムの安全性を脅かす現象として,オートメーションサプライズが注目されている.オートメーションサプライズとは,人間が機械に命令を出した際,機械が人間の意図と異なる動作をする現象のことをいう.そこで本研究では,オートメーションサプライズを引き起こすような状態への遷移に対して,警報を発する警報機設計について考察した.具体的には,まず,離散事象システムにおける最大デッドロックフリー部分述語の計算アルゴリズムを提案した.そして,そのアルゴリズムを人間-機械システムにおけるオートメーションサプライズとデッドロックの両方を回避するための警報機設計に応用した. また,現実の多くの離散事象システムは,並行的に動作する複数のサブシステムから構成される並行システムである.このような並行システムのモデルとして,ペトリネットが知られている.そこで本研究では,ペトリネットによってモデル化された離散事象システムに対するスーパバイザの設計法について考察した.一般にペトリネットの状態数は無限となるため,有限状態システムに対して提案されているスーパバイザの設計アルゴリズムをそのまま適用することはできない.そこで,本研究では,状態数が無限となるペトリネットを有限オートマトンで近似する方法を新たに提案し,その近似モデルに対してスーパバイザを構成した.近似モデルに対して構成されたスーパバイザは,一般にもとのペトリネットに対する最大許容スーパバイザとはならない.そこで,構成されたスーパバイザが最大許容スーパバイザとなるための,十分条件を示した.
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