研究概要 |
本研究は,大規模離散事象システムに対して,高信頼な制御系設計法を確立することを目的としている.そこで,以下の研究成果が得られた. 1.離散事象システムの分散スーパバイザ制御 まず,各ローカルスーパバイザが自身の制御判断を行う際,他のスーパバイザがどのような判断を下すかを推論するメカニズムを提案した.そして,その推論結果に基づき各ローカルスーパバイザが制御判断を行うような分散スーパバイザ制御系を提案し,そのような制御系が構成できるための必要十分条件を導出した.さらに,その条件の判定法を導いた.本提案手法を用いることにより,従来研究の方法より,より広いクラスの制御仕様に対して,分散スーパバイザ制御系が構成可能となった.また,与えられた制御仕様に対して,分散スーパバイザ制御系の構成可能条件が満足されない場合には,制御仕様の近似に対して,分散スーパバイザ制御系を構成する方法を提案した. 2.合成モデルに対するスーパバイザ制御系の構成条件の簡単化 現実の多くの大規模離散事象システムは,複数のサブシステムが並行的に動作する並行システムとみなすことができる.そこで,複数の事象の同時生起を許したコンカレント同期合成でモデル化された大規模離散事象システムを対象とし,スーパバイザ制御系の構成条件の簡単化を行った.従来研究にあるスーパバイザ制御系の構成条件の判定は指数オーダであるが,制御仕様もコンカレント同期合成でモデル化される場合には,多項式オーダでスーパバイザ制御系の構成条件が判定できることを明らかにした.
|