研究概要 |
(1)制御手法の実用化という面では,構造が簡単でしかもロバスト性に優れた制御器の開発が望まれる.また,最近のオンライン制御は,その多くがPC(埋め込み式コンピュータなどを含む)などを用いたディジタル制御が主流となっており,さらに,化学プロセスなどに見られるように入出力のサンプル間隔が比較的長いシステムなど,実際の制御対象の中には,サンプル値(離散時間)システムとして取り扱ったほうが良いものもたくさんある.本研究の目的は大規模,複雑かつ不確かな種々のサンプル値システム(離散時間表現されたシステム)に対する構造が簡素で実用的な制御系を実現するためのシステムのフィードバック受動性に基づいた制御系設計法を確立することであり,本年度は,サンプル値システムに対するフィードバック受動性に基づく出力フィードバック形式適応制御系の設計法に関して,主に理論的検討を中心に研究を行った.具体的には,線形サンプル値システムに対する適応出カフィードバック制御系設計条件の再検討を行い,さらに,非線形に対する条件も検討し,種々のサンプル値システムに対するフィードバック受動性に基づく適応制御系の基本的設計法に関する理論的研究を行った.また,フィードバック受動性に基づく出力フィードバック形式の適応制御系が設計できるための条件を緩和するための手法として,サンプル値システムに対するPFCの実用的かつ具体的な設計法およびPFCを併用した制御系設計法に関する基礎的かつ理論的研究を行った.さらに,入力間や出力間でサンプリング周期の異なるマルチレートシステムにより表現されるマルチレートシステムに対するフィードバック受動性に基づく出力フィードバック形式適応制御系設計法に関する理論的かつ基礎的な検討を行った.上記の成果の一部は,いくつかの論文誌に掲載され,また,国際会議ですでに発表または発表予定である.
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