研究課題
平成20年度の研究成果昨年度までの研究に引き続きモデリングの問題と制御メカニズムの解析を行った。最終年度であるので、これまでに明らかにしてきたアトラクターの適応性・ロバスト性を保証している制御メカニズムについて、想定される様々な変動の中での解析と評価を行った。生物の様々な機能は精緻な制御メカニズムによって実現されている。生物がそのような制御メカニズムを備えている理由は、進化の過程で生物の機能を実現するためには有利であったから(そのように評価できるから)であろう。本年度は、機能実現にとって有利であることを定量化できる評価関数の探索から始め、生物の備わった制御メカニズムはある評価関数に対して最適なものであるはずであるという仮説のもとで、これまで検討してきた制御メカニズムを最適性の観点から特徴付けを行った。特に、生物の重要な細胞機能の一つである概日リズムについて、そのリズムを最適なアトラクターとして、また最悪条件下の最適なアトラクターとして実現している制御メカニズムがあることを示した。生物の機能は様々な変動要因が存在する中で実現されている。細胞機能に限っても、外界の温度変化を例とする外部環境の変動や、分子雑音などに代表される内部変動が考えられる。これまでに、変動要因に適応する制御メカニズムや変動にロバストな制御メカニズムの特徴については検討をしてきたが、本年度は新たに確率的な変動に対しする振る舞いについても検討した。なお、この結果から次の研究計画の着想を得ることができた。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
計測と制御 Vol. 47, No. 3
ページ: 237-247
Human Molecular Genetics Vol. 17, No. 10
ページ: 1482-1496