研究概要 |
本研究は,塩害促進試験,静的載荷試験(曲げ試験および押抜きせん断試験),動的載荷試験(輪荷重走行試験)の3種類の試験に大別される.このうち,本年度は,塩害促進試験と静的載荷試験の一部を実施した.動的載荷試験については,供試体の作製と輪荷重走行試験機の改良を行なった. 静的載荷試験に用いる供試体寸法は実際のRC床版を模擬した縦300mm×横2000mm×厚さ160mm(曲げ試験用供試体)と,縦1200mm×横1200mm×厚さ160mm(押抜きせん断試験用供試体)の2種類であり,それぞれ4体作製した. 塩害促進試験は,2槽の防錆処理を施した水槽を作製し,この中に前述の供試体を入れ,1週間に2回タイマ付ポンプにより10%NaCl水溶液を循環させることにより供試体の塩分浸透作用を促進させた.現在,鋼材の腐食状況を目視観察と自然電位の測定によりモニタリングしているが,順調に鋼材腐食が進行していることを確認している. 曲げ試験,押抜きせん断試験については,すでに劣化をしていない健全な供試体の載荷試験が終了しており,今後,各劣化レベルに達した供試体の曲げ耐力,押抜きせん断耐力およびこれらのひび割れ状況を総合的に判断することにより,塩害劣化が道路橋RC床版の静的耐荷性能に及ぼす影響を検証する予定である. 一方,輪荷重走行試験については,既に実床版を模擬した4体の供試体(縦2000mm×横3000mm×厚さ160mm)の作製が完了しており,現在養生中である.また,現在,試験機の載荷機構および供試体支持機構を改良中であり,次年度早々から疲労試験を実施する予定である. 以上のことから,実際の載荷試験は次年度より本格化するため,現段階では研究発表可能な成果は出ていない.この点については次年度,成果が出次第,研究発表および論文投稿を行なっていく予定である.
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