研究概要 |
本研究では,超音波伝播速度を応用して,材齢ゼロからの超若材齢コンクリートの剛性変化を,(1)正確に,(2)非破壊で,(3)連続自動的に測定することができる計測システムを開発し,それら計測結果の評価方法を確立することを目的としている. 平成18年度の研究では,超音波伝播速度により,コンクリートの強度発現・剛性変化を追跡する自動計測システムを開発し,その適用性について検討した.本計測システムは,超音波測定装置本体とパーソナルコンピュータで構成され,ソフトウェアで設定したインターバルで超音波受信波形を記録し,それらを解析することにより超音波伝播速度の変化を得ることができる.また,事前準備段階の実験で課題となっていた超音波プローブとコンクリートの接触部の安定性は,接触部の構造を粘着ステンレスシートの適用で改善し,その結果,測定の信頼性が大幅に向上した. 超音波計測システムの適用性については,水和熱抑制型膨張材を使用したコンクリートの強度発現特性を,様々な温度水準の条件で測定し,検討を行った.その結果,本計測システムは,超音波伝播速度が500m/s程度の段階から,コンクリートの強度発現・剛性変化を正確に追跡することができ,また計測データは非常に安定して得られ,実験の再現性も高いことを確認した.特に水和熱抑制型膨張材を用いたコンクリートに対する計測では,高温時に強度発現が遅延する特殊な温度依存性を明瞭に捉えることができ,超音波計測が若材齢コンクリートの力学特性の評価に有望であることを確認した. これらの実験と並行して,若材齢コンクリートの超音波伝播速度と静弾性係数の関係を実験により確認し,評価式を提案した.平成19年度の研究では更に検討を進め,水セメント比,粗骨材の体積濃度,膨張材の添加量など,配合条件が超音波伝播速度に及ぼす影響を詳細な実験により確認する.
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