研究概要 |
浸透性吸水防止材は,施工が容易でコンクリートの外観を変化させることなく,吸水防止性と通気性を両立させることによりコンクリートの耐久性を改善するものである。しかしながら,その効果については一様でなく,材料の種類や成分,施工方法,施工箇所,施工時期,コンクリートの状態等により効果が不安定であることが報告されている。これらのことから本研究においては,浸透性吸水防止材の基本性能を把握することを目的とし,(1)浸透性吸水防止材の種類がコンクリートの実効拡散係数に及ぼす影響,(2)浸透性吸水防止材中のシラン含有率が塗布コンクリートの実効拡散係数に及ぼす影響,(3)浸透性吸水防止材の塗布によるコンクリート中の擾水層厚が実効拡散係数に及ぼす影響について,電気泳動法により実験的検討を行った。 その結果,浸透性吸水防止材をコンクリート表面に塗布することでコンクリート中への塩分浸透性が大きく改善されるが,市販されている浸透吸水防止材の種類の違いによる有意な差は認められなかった。ただし,メーカーにより標準塗布量が設けられており,その量によりコンクリート中での機水層厚が異なる傾向を示すため,その影響により実効拡散係数が左右される結果となった。また,浸透性吸水防止材の主成分であるシラン含有率を増加することにより実効拡散係数は小さくなる傾向を示したが,これはシラン含有率によりコンクリート中の擾水層厚が変化することが原因であると考えられた。以上のことから,コンクリートの実効拡散係数は,浸透性吸水防止材の塗布により作成された擾水層厚に影響され,擾水層厚が大きいほど実効拡散係数は小さくなることが
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