研究課題/領域番号 |
18560458
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡崎 慎司 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50293171)
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研究分担者 |
審良 善和 独立行政法人港湾空港技術研究所, 地盤・構造部, 特別研究員 (10416018)
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キーワード | 分布定数系回路 / 電気化学インピーダンス / コーティング / 健全性評価 / 塗装 / 鋼構造物 |
研究概要 |
大型鋼構造物の被覆防食材として、近年、高い直流抵抗値を有する高性能重防食コーティングが使用されるようになった。従来の集中定数系回路素子に基づく測定では、コーティングの劣化挙動や健全性を十分評価できない現状である。本研究の最終目標は、構造物全体としての健全性を評価できる保全管理技術の確立であり、本年度は電気化学インピーダンス測定に基づく新しい評価モデルに関する実証的検討を行った。以下に得られた成果を述べる。 (1)インピーダンスデータと化学劣化との相関関係の明確化 コーティング内への塩化物イオンの浸透による劣化を再現した塩水暴露試験では、試験期間最大8000時間実施し、500〜2500μmのエポキシ樹脂系塗膜に関して約2000時間程度で塩水の浸透によるインピーダンス値の変化が認められた。特に、分布定数系回路素子(CPE)を用いた等価回路モデル解析により、特性値T、n値の大きな変化量として抽出できることがわかった。水浸透によるフクレの発生を再現させた温度勾配浸漬試験では、150μmのビニルエステルガラスフレーク樹脂系塗料に関して20℃/60℃条件の結果、フクレの発生とインピーダンス特性値T、n値の大きな変化として認められた。また20℃/40℃条件の結果、フクレの発生は確認できないがT、n値の変化があった。試験後、塗膜を剥離すると鉄素地が黒錆びのウロコ状模様であったことから、潜在フクレを検知できていると推測された。 (2)コーティングの健全性評価手法フローチャートの検討 3年間研究を行ってきたコーティングの定量的健全性評価の詳細な測定、解析、評価フローを作成し、現場適用可能な評価手法としてまとめた。これにより、従来までのインピーダンスデータから塗膜の良否判定程度しか行われてこなかった評価に変わる定量的診断方法として実証された。
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