本研究は、既製品のGFRP引き抜き成形材を用いた新形式の床版橋タイプ単径間歩道橋の実用化を目的としたものである。本タイプは、I形材を等間隔に並べ、それらの上下面にシート材を接着接合により積層させて一体化した合成断面をすべて抵抗断面とするとともに、さらに経済性を飛躍的に向上させるために、断面決定に支配的な曲げたわみを大幅に低減できる疑似両端固定支持条件とすることを提案したものである。 最終年度である本20年度の研究は主に、これまでの成果を総合的に評価して実用性を確かめるとともに、具体的な設計法を提示することであったが、その前に、より実用性を高めるための補足的な試験をクーポン試験片を用いて行った。接着表面の不陸を吸収できる厚層接着剤の開発を受けて、これまで使用してきた界面せん断強度の低いマットイン接着層に替えて適用することを検討したもので、非常に効果的であることが確かめられた。 そこで、上述の成果も加え、各種実大部分模型供試体に用いた曲げ載荷試験により得られた、最初の18年度における接着接合された合成断面の変形性能と安全性の検討成果、および、次年度の19年度における疑似固定支持構造と現場架設用主桁ブロック連結構造の安全性の検討成果について総合的に評価した結果、実用性が極めて高いことを確かめることができた。さらに、せん断変形を考慮して設計たわみや反力を極めて簡易に算定できる梁公式の提案を含めて、具体的な設計法を提示することもできた。
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