研究概要 |
本研究は,鉄筋コンクリート橋脚(以下,RC橋脚)を対象として,地震リスク解析手法,リスクファイナンスの適用法を検討し,RC橋脚の地震リスク解析(損傷期待値,最大予想金額などの算出)を実行することである。 (なお,本研究でのリスクとは,「なんらかの原因によって,損害を被る可能性」であり,「地震リスク=地震の発生確率×発生した時の重大性」にて明確に定義される狭義のリスクである。) 平成19年度:初年度にて実施したPan1〜Part4の業務により,地震リスク解析の要素技術に対する研究を実施し,解析事例を提示した。続く平成19年度では下記研究を行った。 ・Part4の一環として,地震リスク解析プログラムの開発:Part1〜Part3の検討結果を基に,解析プログラムのプロトタイプ/FrameRiskを完成した。これは,対象構造物の耐震性能と損失モデルの入力により,構造物の地震損傷度曲線と地震損失関数を出力とするものである。加えて,地震ハザード情報を与えることにより,損失期待値関数,地震リスク曲線,予想最大損失(PML)を算出するものである。FrameRiskを用いて,鉄筋コンクリート橋脚3例について,リスクシミュレーションを実施した。 ・Part5:リスクファイナンスの適用 次に,リスク麩嫁策としてのリスクファイナンスの適用法を検討した。とくに,転嫁策として地震保険の適用性を検討し,その有用性を確認した。ただし,地震保険の料率設定とRC橋脚の被害事例などデータベースの蓄積が必要である。 研究の次へのステップとして,他のインフラ施設(鋼構造,土構造などの土木構造物)への適用へ拡張するとともに,総合的なリスクマネージメントとして,危機管理を含む企業継続性BCP,防災ポートフォリオ,など,さらなる展開・活用が期待できる。
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