研究課題
基盤研究(C)
長方形断面の角柱は、気流中にばね支持されたとき、振動を発生する。比較的低風速で発生する振動は、渦励振と呼ばれ、橋梁によく見られる現象である。この渦励振は気流の剥離点に音響を与えることで防止できることが申請者のこれまでの研究で明らかになっている。渦励振の防止に効果のある音響は、約300Hzまでの比較的低周波数、十分な音圧強度のものであることが要求されることが判明した。そこでこの振動防止方法を橋梁に適用することを考慮して、できるだけ低周波数とすることの可否を検討した。音響の代わりに、ピストンを用いて0〜20Hzの周期的吐き出し吸い込みを与えた。その結果、約10Hzを超える周波数から角柱のたわみ、ねじれ渦励振の防止効果が認められた。可聴域以下の周波数であるので橋梁に適用するとき人に与える悪影響が少なく音響よりも望ましいものであるといえる。ピストンによる周期的吐き出し吸い込みの変わりに、接近流の動圧を用いることも試みた。その結果、たわみの渦励振に対してはいくらかの効果が認められたが、ねじれの渦励振に対してはほとんど効果が無かった。この方法の場合、周期的吐き出し吸い込みの変動圧力の強度が不足するためであると推察された。角柱周りの流況をスモークワイヤー法で可視化して調べた。音響は、剥離せん断層の遷移を促進し、剥離バブルの規模を小さくする効果があることがわかった。
すべて 2006
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Jour. of Wind Eng., JAWE Vol. 31 NO. 3
ページ: 685-688