研究概要 |
準静的な載荷条件下で進展する亀裂の進展挙動を解明する目的で,本年度に行った研究の概要は以下の通りである: (1) 進展する亀裂先端部近傍の挙動を実験的に明らかにする目的で,複数の超高速ビデオカメラを用いた多方向からの同期撮影手法を確立した.進展する亀裂先端部の挙動,特に分岐前後の亀裂先端部の挙動は,薄肉供試体のように平面応力状態とみなせる条件かであっても3次元的に挙動することが知られている.このような挙動を明らかにするためには,超高速ビデオカメラを用いた画像計測であっても一方向のみからの計測では不十分である.そのため,本年度は2台の超高速ビデオカメラを同期させることにより亀裂進展挙動を2方向から同期撮影する手法の確立をおこなった.その結果,亀裂分岐挙動の複数の方向からの画像計測という世界的にも例のない実験結果を得ることができた. (2) 昨年度の研究において,亀裂の不安定成長を準静的な数値解析により検討する手法には限界のあることが明らかにされた.本年度は,X-FEMを動的問題に拡張し,亀裂進展を動的に解析する手法の確立を目指した.拡張された手法は3点曲げ条件下での亀裂進展問題に適用され,実験結果との比較によって妥当な解析精度をもつことが示された.
|