研究概要 |
昨今の社会的情勢を背景に経済的ならびに景観性に優れた道路建設のニーズが高まっている.山岳部が国土の大部分を占有し,平野部は既に人口集中等で要地の制限を受ける我が国では,道路建設の制約条件は厳しいものである.トンネル部とそれを繋ぐ橋梁・土工区間が大半を占めるような道路線形となり,トンネル掘削で生じる土砂の運用は経済的な道路建設を成し得る上で重要な鍵となる.また,地震や水害の多い我が国では,それらに十分に耐えうる構造物を構築する必要がある.経済性および環境配慮を重視する社会情勢と防災上の観点を満足するには,既存の構造物概念に囚われない構造物の提案,その設計規範の構築が急務であり,景観性に優れた多連式プレキャストアーチカルバートを含むハイブリッドの盛土構造が既に提案されている.しかしながら,本構造を実際上適用するには,構造物の力学的安定,施工問題および耐震性を十分に検討する必要がある.そこで,本研究では多連式プレキャストアーチカルバートの地震時の挙動の解明およびそれに基づく設計規範の構築を目的とする.研究の手法では,振動台を用いた遠心力場における模型実験および3次元弾塑性動的有限要素法による解析を実施し,多連式プレキャストアーチカルバートおよび周辺地盤の耐震性について検討を行った.その代表的な成果として,レベル2地震動に対するボックスカルバートおよびアーチカルバートの耐震性を明確にすることができた.
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