研究概要 |
本研究では三次元的な挙動の予測が重要になる。そこで,既往の手法で事例調査により得られた1995年兵庫県南部地震の際に被災したサイトの三次元解析を行ったところ,特にコーナーを有している部分が解析で表現することができないことがわかった。これは有限要素法の持つ本質的な問題であることがわかり,その解決のためにインターフェイル要素を適当に配置する事を,単純化されたモデルを作り有効性を検証した。その結果,ケーソンのみならずその下の地盤にある程度の間隔で配置することで実現象に近い挙動が得られることがわかった。 三次元解析は現在の発達したコンピュータでも負担の大きい作業であるため,解析のサイズを低減する方法を検討した。すなわち,本研究では液状化層上部の非液状化層を扱うので,液状化層を簡略化することで計算量の大幅な減少が計れる。そこで,液状化した土の力学特性を考慮して液状化層を一つのばねにモデル化する方法を提案した。二次元解析で比較した結果,既往の方法と良い整合性を得ることができ,手法の妥当性が実証された。 非液状化地盤の挙動では,引っ張り破壊が重要な要因である。これを求めるために,カオリン試料による一軸割裂試験を,および,カオリンとセメントを混合した試料による中空ねじり試験により引っ張りを含む脆性挙動を求めた。一軸割裂試験では引っ張り強度が圧縮強度の1/12程度であること,含水比により引っ張り強度が変化することなどの結果が得られた。一方,中空ねじり試験では正負交番載荷された試料と片側載荷された試料で剛性が異なる(後者が大きい)こと,亀裂面積と剛性が反比例の関係にあることなどがわかった。
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