研究概要 |
本研究は地盤中に適切な大きさと量の空気を注入して地盤を不飽和にする事により、液状化被害を低減させる工法に関する基礎データを得ることを目的とする。この工法を成立させるためには3つの要素技術が必要です。(1)地盤中に適切な大きさと量の空気を注入する方法、(2)地盤の不飽和度を評価する方法及び(3)地盤の飽和度から地盤の液状化強度を評価する方法の3つです。(1)項は施工技術で、(2)及び(3)項は設計技術です。(1)項については、適切な大きさと量の気泡を作成し、注入できる方法の原型の開発を本研究の対象とし、既存構造物があることによる制限で、施工機械の小型化や低振動・低騒音などへの対策のような課題は本研究の範囲外とする。(2)及び(3)項については,様々な粒径,密度,細粒分含有率を持つ実地盤が豊浦砂のようなきれいな砂で得られた関係がそのまま適用できるかどうかは不明であるため、本研究では実地盤の適用を目指して,粒径,密度,細粒分含有率などによる飽和度とP波の関係への影響を明らかにする研究を行います。 平成18年度では、「飽和度と弾性波速度の関係の把握」を主眼に試験装置の整備および基礎実験を実施し、具体的には下記の項目について検討した。 (1)弾性波速度の測定が行える動的三軸試験装置の整備 (2)間隙水の性質、密度、粒径及び砂の種類をパラメーターとした試験試料の作成法の検討及び試験の実施 (3)飽和度とP波速度、及び飽和度とB値の関係に及ぼす相対密度、砂の種類、粒径、間隙水の影響の把握 (4)SCPにより飽和度が低下した原位置不撹乱試料の飽和度と液状化強度の関係の検討 その結果、下記の結果が得られた。 (1)砂の種類はB値とP波速度の関係には影響を及ぼし、飽和度とP波速度の関係には大きく影響を及ぼさない。 (2)砂の相対密度はB値とP波速度、飽和度とP波速度の関係に大きく影響を及ぼさないと推測される。 (3)間隙水の性質はB値とP波速度の関係に影響を及ぼすと推測される。 (4)SCPにより飽和度が約10%低下した原位置不撹乱試料の液状化強度は飽和試料の強度の約70%増加した。 なお、平成18年度で得られた実績は次頁の研究発表の欄に記載してあります。
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